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●10min.ボックス 世界の国から[6] 「フランス」


フランスの首都であるパリには多くの歴史的な建造物や美術館があり、芸術やファッションの中心として世界中から多くの観光客を集めています。またEU加盟国の中心的な先進工業国でもあり、有数の農業国でもあります。このシリーズではフランスについて移民の増加などの課題にも触れつつ5つの視点から紹介していきます。

(1) 自然環境と農業
フランスの面積は55万km2で日本の1.45倍、周縁部にはアルプス山脈、ピレネー山脈などがあるが、国土の大部分は肥沃な平地になっている。ほぼ六角形の国土の中にはパリ盆地とアキテーヌ盆地の2つの盆地があり、またセーヌ川やロアール川、ガロンヌ川やローヌ川といった大きな川がゆったりと流れている。気候では北大西洋海流の影響を受け、緯度のわりに温和な西岸海洋性気候が広がっている。また、地中海に面した南部は地中海性気候になっている。恵まれた自然環境によりフランスはヨーロッパ第一の農業国となっている。農業従事者あたりの農用地面積も広く、小麦、イモ類、肉類、乳製品の自給率は100%を超えている。EUの共通農業政策でも農業生産性が高く恩恵を受けてきた。シャンパーニュ地方やブルゴーニュ、メドック地方のワイン用のぶどう栽培も有名である。

(2) 産業・交通
鉄鋼業や機械工業、自動車産業はフランスの主要な産業である。鉄鋼業地域はアルザス、ロレーヌなどの内陸の原料立地型から臨海部へと変化してきた。EUの市場統合の中で国際競争力強化のため、日本の自動車メーカーと提携を深めている企業もある。また、伝統的な繊維産業はパリのファッションを支えている。装飾品、化粧品産業なども特徴的である。南部のトゥールーズにはEU各国で作られた航空機の胴体や翼、エンジンの組み立てをする工場がある。これは莫大な研究開発費がかかる航空・宇宙産業を各国で効率的に分業しているためである。ヨーロッパ大陸の交通の要所であり、フランスの道路網は発達しており、高速道路は大都市間を結んでいる。また高速鉄道であるTGVも有名である。海峡で隔たれていたイギリスとも1994年に開通した「ユーロトンネル」で結ばれた。また、フランスは原子力発電への依存率が70%を超える高い国としても知られている。

(3) 文化・歴史遺産と観光
セーヌ川のシテ島を中心に発展していったフランスの首都パリには、ノートルダム寺院やナポレオンの凱旋門、万国博覧会を記念して作られたエッフェル塔、オペラ座や郊外のベルサイユ宮殿などさまざまな文化・歴史遺産がある。そのため、市の中心部では、多くの歴史的な建築物を保存するために、近代的な高層ビルの建設は規制されている。「モナリザ」や「ミロのヴィーナス」が展示されているルーブル美術館や印象派の作品を多く集めたオルセー美術館があり、多数の芸術家たちがこの街で創作活動をしてきたため、パリは芸術の都とも呼ばれる。また、ファッションの中心としても有名であり、これらを目当てに、オープンテラスのカフェやブティックには毎年世界中から多くの観光客が集まっている。パリ以外でもアルプスにはスキーやハイキングに、地中海沿いのカンヌなどへは太陽を求めて多くの観光客が訪れている。

(4) 人々のくらし
フランス料理は中華料理と並び有名であるが、宮廷料理であった料理が広まったのは、革命後に職を失った王族のお抱え料理人たちがレストランを開き、市民にも味わえるようになったからだといわれている。国内の豊かな農産物が食材になっているが、市内にはそれらを扱う市場がある。独特なものとしては、豚が掘り出すきのこのトリュフやガチョウの肝臓で作るフォアグラ、カタツムリのエスカルゴなどがある。普段の食生活で欠かせないのは、皮が固いフランスパン(長い物やまるいもの)やクロワッサン、カフェオレ、ワイン、チーズなどである。週35時間労働制のもと、フランス人は長期休暇を取り、フランス南部の地中海沿岸、コートダジュールなどへ多くの人々がバカンスに出かける。スポーツやレクリエーションも盛んだが、自転車競技は人気も高く国内4000kmを走るツールドフランスも開催される。

(5) 外国との結びつき
フランスはEUの加盟国として、近隣の国々との結びつきを強めており、特にドイツとの政治的、経済的な関係が深まっている。2度の大戦では敵対した両国であるが、現在ではフランスの貿易相手国は輸出入ともドイツが1位である。また、国境を超えドイツで働く人々も増えている。政治的にも両国首脳は会談を頻繁に重ね、拡大したEUをより強力なものにするため理念の共有化に努めている。一方国外からは多くの移民が流入し、特にかつて植民地支配していたアルジェリアからの移民が増えている。国内の失業率の高さから、不法移民への対応が政治的な課題ともなっているが、南部の港町マルセイユにはそのような移民が多く住む地域がある。第2次大戦後、西側陣営の一員として歩んできたが、冷戦後の世界ではアメリカとの関係において安全保障や対イラク政策などで独自性を保ち、また中国とも関係を強めている。
(text from NHK site)

<受信障害により映像全体に、ごく軽いノイズあり>
NHK教育 10min×5 2005-05-23〜06-03 Air check by Sony Giga Video Recorder v4 Mono (MPEG1)







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